一般社団法人 日本健康生活推進協会

2025年5月22日、「オープンバッジ・ネットワークセミナー」が開かれ、合格者への認定証としてオープンバッジを発行している「一般社団法人 日本健康生活推進協会」の方々から、ご講演いただきました。
中島順専務理事からは「ヘルスリテラシーの社会普及・実装に向けた【健検】の挑戦」、林俊生事務局長からは「健康マスターとオープンバッジの活用について」と題してお話いただきました。
当日のご講演内容と、お二人へのインタビューをご紹介します。
「ヘルスリテラシーの社会普及・実装に向けた【健検】の挑戦」(中島順専務理事)
1.一般社団法人 日本健康生活推進協会の目的とヘルスリテラシーの定義
当協会は、「人生100年時代に向けた職域、地域、そして学域において必要な健康知識と、それを活かすための能力であるヘルスリテラシーを高め、ウェルビーイング(身体的、精神的に健康であるだけでなく、社会的、経済的に良好で満たされた状態)社会の実現に貢献する」ことをパーパス(目的)として掲げています。
私たちは「ヘルスリテラシー」を、健康知識とそれを健康行動に活かせる能力であると考えています。これは具体的には、個人が健康情報を入手し、それを理解・評価した上で、自分で意思決定を行い、行動に移し、最終的に良好な健康習慣を手に入れるという一連の流れを支える能力であると言えます。
約40カ国を対象とした国際調査によると、日本のヘルスリテラシーの平均点は最下位となっています。要因としては、国民皆保険制度があることによる「医者頼み」の傾向、「かかりつけ医」を持つ人が少なく、医師からアドバイスを受ける機会が乏しいこと、そして、知識はあっても行動に移さない「頭でっかち」な国民性があるのではないかと分析されています。
当協会はこうした背景のもと、日本全体のヘルスリテラシー向上を目的に、2016年4月に設立しました。
2.健康マスター検定の概要と実績
当協会が実施している主な事業は「日本健康マスター検定」です。検定の概要やこれまでの実施実績についてご紹介します。
受検者数・合格者数と資格の構造

現在、日本健康マスター検定ののべ受検者数は10万人を超え、累計合格者数は約6万人に達しています。資格の有効期間は通常4年間で、更新講座の受講が必要です。上位ライセンスでは、健康のコミュニケーターとして人に教える役割を持つ健康マスター普及認定講師のライセンスも発行されており、現在約600名がライセンスを保持しています。
検定のカテゴリー
検定には2つのカテゴリーがあります。
(1)「健康マスターコース」(セルフケア):個人の行動変容・意識変容を目的とし、基本的なヘルスリテラシーを身につけることに重点を置いた内容です。
(2)「エキスパート健康マスターコース」(コミュニティケア):職域や地域におけるヘルスリテラシーを高めること目的とし、企業、団体等で職員の健康推進施策や健康経営に関わる方々、ヘルスケア関連事業に関与されている方々などが主な対象です。
団体受検の重要性
受検者全体の約4分の3が企業・団体の社員による団体受検です。団体受検が多い背景には、健康経営に取り組む企業のニーズがあります。ランキング上位には生命保険会社や損害保険会社が多いですが、金融機関や食品関連企業なども参加しています。職種別では、保険などの営業職や、人事・健康推進・人材教育部といった健康経営を推進する担当者が多く受検していると推定されています。
団体受検企業(10名以上)には、受検料やテキスト代の特別割引、合否状況のデータ管理、および合格者数ランキングへのエントリーといった特典があります。団体受検を検討している企業のご担当者様には、1名を対象に無料で受検やテキスト提供もしていますので、お気軽にお問い合わせください。
3.受検の動機・成果

検定の受検動機についてのアンケート結果をみると、「自分の仕事や活動に生かすため」「自分のセルフケアのため」(複数回答可)などが上位となっています。ただ、単一回答で問うと「会社からの評価に関わるため」が3位に位置します。これは、団体受検が多いことが背景にあると考えられます。
検定合格後、受検者の多くは健康意識や行動に変化があったようです。特に受検者の約3分の2は身体活動や運動に、そのほかにも食生活、睡眠などにおいて向上が見られます。健康マスター普及認定講師のライセンスを取得し、名誉リーダーとしても活動している俳優の杉田かおるさんも「健康に対する意識が変化し、実生活にも使える」と話しています。
4.普及に向けた戦略
私たちは、当検定が英検や漢検のように、幼少期からの学習インフラのような存在になって、社会のヘルスリテラシーを高め、もさらに一定のヘルスリテラシーを持った方が地域や職場、学校などでヘルスリテラシーに関する活動を広げていってほしいと思います。
そのために3つの戦略を掲げ、以下のような取り組みを行っています。
(1)「健康マスター」としての健康リーダー意識、共有感の醸成:最新の健康情報の提供・共有、セミナーやイベントの開催
(2)受検者にとっての付加価値創造支援:学びや資格を社会で活かすための情報共有や仕組み作り
(3)外部とのパートナーシップ推進:企業・団体、メディア、個人など、様々な外部との協業
ヘルスリテラシーは目的ではなく、あくまで目的、目標をかなえるための手段であり、その先にはウェルビーイングの実現があると考えます。私たちは、ヘルスリテラシーを高めることが、結果として組織のエンゲージメントや生産性の向上、個人のコンディションやパフォーマンス向上につながっていくと考えています。
「健康マスターとオープンバッジの活用について」(林俊生事務局長)


1.CBT方式への移行とオープンバッジの導入
2023年の第17回から現在まで、日本健康マスター検定は、CBT(コンピューターベーステスト)方式で実施しています。CBTは、受検者が全国47都道府県CBT試験会場のコンピューターで受検する形式で、試験問題の文字サイズの選択、残り時間の確認、回答状況の確認なども可能です。試験の内容は、公式テキストの改訂に応じて問題が差し替え・追加される可能性はありますが、基本的にはジャンル別にストックされた問題からコンピューターが難易度プログラムに応じてランダムに抽出し、かつ出題順や解答選択肢もシャッフルして出題しています。コロナ禍で得た教訓「3蜜回避」からCBT方式への移行に伴い、私たちは合格者への認定証をオープンバッジで発行することを決定しました。
2.オープンバッジの発行状況と発行者側のメリット

これまでに当協会が発行したバッジ数は約90種類、授与数は約2万人分にのぼります。
「健康マスター」「エキスパート健康マスター」のバッジは、各検定回の検定合格者に対して発行し、これまでで9回18種類あります。「健康マスター」のバッジ授与者は資格更新者を含め約1万1700人、「エキスパート」の授与者も同様に約7700人にのぼり、これらのバッジは4年更新制です。
「健康マスター普及認定講師」のバッジ数は第23回講座以降に発行しており、授与人数は約30人、「健康マスターエキスパート普及認定講師」のバッジ数(22回以前の健康マスター普及認定講師含む)は同様に27種類、授与人数は約330人となっています。これら2つの「普及認定講師」のバッジは2年更新制です。
オープンバッジ発行による協会側のメリットとしては、認定証の発行期間を大幅に短縮できたことが挙げられます。従来のプラスチックカードでの発行は、解答用紙の回収からカードを合格者に届けるまで約2ヶ月かかっていましたが、CBTの導入とオープンバッジ発行により、認定証の発行までの期間が約0.5ヶ月に短縮されました。認定証の作成コストも3分の1以下に削減できました。
今後は、オープンバッジ・ネットワークで実装予定のオープンバッジ会員間コミュニケーションにも期待しています。
3.受け手側のオープンバッジ活用方法
2025年4月のアンケート結果によると、受け手によるオープンバッジの主な活用方法は以下の通りです。
(1)証明書としての印刷・提出
(2)スマートフォン画面やパソコン画面に表示して人に見せる
(3)履歴書や職務経歴書への添付
(4)メールに貼付して送る
活用場面は、個人的な活動、会社の人事評価、業務報告、地域活動など多岐にわたります。
そして受け手がオープンバッジに満足している理由としては、「資格やスキルの証明になり、提出しやすい」「信頼を得ることができた」「ステータスになるため」などが挙がっています。
4.今後の検定スケジュール
日本健康マスター検定は年3回ほど開催されておりますので、ぜひチャレンジしてみてください。
詳しくは以下ホームページをご確認ください。
https://kenken.or.jp/student/submit
中島順専務理事、林俊生事務局長へのインタビュー
オープンバッジ導入の経緯や、今後の展望について、中島順専務理事、林俊生事務局長のお二人に詳しくうかがいました。
――オープンバッジを導入した理由や経緯について教えてください。
林:以前は全国各地の公共会場を借りて試験官を手配し同一日時で検定試験を開催していましたが、すべての都道府県で実施していたわけではなかったこともあり、より多くの方々に検定を受検してほしい、採点などの業務を効率化したいという思いとコロナ禍での「3蜜回避」から、CBT方式に移行することを決断しました。そしてCBTへの移行を準備している中でオープンバッジのことを知り、改ざん防止に当時話題だったNFT技術を採用していること、認定証発行までの時間や人手を大幅に削減できることが分かり、CBT方式への移行と同時にオープンバッジの導入を決めました。
――オープンバッジの導入にあたって、ハードルや難しかった点はありましたか。それをどう乗り越えましたか。
林:導入にあたってのハードルの一つとして、受検者層の年代がありました。日本健康マスター検定の合格者は45歳から60歳代までの方が約半数と多く、オープンバッジについて問い合わせが多く寄せられることも予想されました。その1つ1つに当協会で対応するのは大変そうだと思いましたが、オープンバッジ・ネットワークの皆さんにも対応のサポートをしていただきました。この層が受け入れてくれた事が成果につながりました。
中島:受検者の4分の3ほどが企業などの団体受検です。とくに大手企業ではデジタル化が進んでいるので、大手企業に勤める受検者の皆さんには比較的オープンバッジを受け入れてもらいやすかったのではないかと思います。
――オープンバッジについて気に入っているポイントや、デザインで意識したことはありますか。
林:以前はカード型の認定証を発行していました。カード型だとあまり人に見せる機会はありませんが、オープンバッジだと名刺やメールの署名につけることができて、人に見てもらう機会が増えますね。検定の認知度も上がってきていると思います。
中島:回によって異なるバッジを発行していますが、全体を通してデザインには統一感を持たせました。オープンバッジ・ネットワークのHPで紹介されている、他の企業・団体のバッジのデザインも参考にしましたね。
――今後、オープンバッジをどのように活用・展開していく予定ですか。
林:検定に合格した人が、企業内でオープンバッジをPRするという光景が定着してきたと感じています。合格者のそうした姿や、合格者を評価する企業側の姿勢を見て、ほかの社員も日本健康マスター検定を受検する、という好循環が生まれてくれればと思っています。企業の団体受検をさらに広げていけるよう、企業とのコミュニケーションを続けていきたいです。企業内で社員向けに講座を実施し、その受講者にオープンバッジを発行する、というような取り組みもいいですね。
――今後、日本健康マスター検定を受検し、オープンバッジを取得したい人に向けたメッセージをお願いします。
林:日本には世界でもめずらしい国民皆保険制度があります。ただ、少子高齢化による社会保険料の負担増など、課題も山積しています。そうしたなかで国民皆保険の仕組みを持続的に守っていくためにも、1人1人のヘルスリテラシーを上げていきたいと思っています。ぜひ1人でも多くの方に健康マスター検定にチャレンジしていただき、健康に関する知識を身につけてもらいたいですね。
一覧に戻る